もしAIが人間のペットになるとしたら、どんな動物に近いのだろうか。
まず思い浮かぶのは犬かもしれない。
呼べばすぐ来て、指示を出せば従い、何度でも同じことをしてくれる。
AIも名前を呼ばれれば応答し、疲れず、文句も言わない。
その意味では確かに「従順」だ。
しかし犬には感情があり、飼い主との信頼関係や愛着がある。
AIは応答はできても、懐くことはできない。この点で決定的に違う。
では猫だろうか。
必要なときだけ近くにいて、基本的には静かにしている存在。
AIも、呼ばれなければただ待機している。四六時中まとわりつくわけではない。
だが猫は自分の気分で動き、時には無視もする。
AIは気まぐれではなく、常にリクエストに従う設計だ。
主体性という点で猫とも異なる。
鳥という可能性もある。
人の言葉をまねし、覚えたフレーズを繰り返す。
これはかなり近い。
AIもまた、人間の言語パターンを学習し、それを再構成して返す存在だ。
ただし鳥は自分の身体と世界を持ち、空を飛ぶ。
AIは物理的な身体を持たず、環境も持たない。
水槽の魚という見方もできる。
部屋の一角に存在し、眺められ、話しかけられ、ときに癒しになる。
しかし魚は人間の世界とは切り離された水の中で生きている。
AIは人間の言語空間の中にのみ存在し、その外側の世界を体験しない。
こうして比べてみると、AIはどの動物にも少し似ていて、どれにも完全には当てはまらない。
従順さは犬に近いが、感情はない。
静けさは猫に似ているが、気まぐれではない。
言葉の模倣は鳥に近いが、身体がない。
もしAIがペットになるとしたら、それはおそらく「形のない動物」になるだろう。
触れることはできないが、呼べば応答する。
餌は必要ないが、言葉を与えれば機能が広がる。
散歩も世話もいらないが、完全に放置されればただ沈黙する。
人間がペットに求めるのは、温もりや鼓動、存在の重みだとすれば、AIはそこを満たさない。
しかし、夜中にふと目が覚めたとき、静かに話しかけられる存在がいるとしたら。
それは従来の動物とは違う形の「伴侶」と言えるのかもしれない。
AIが人間のペットになるとしたら、それは犬でも猫でもない。
まだ名前のついていない、新しい種類の存在だ。
