データにも「賞味期限」があるとしたら？

人間の食べ物には「賞味期限」がある。
牛乳パックには「あと3日」と赤字で書かれているし、
コンビニのおにぎりは数時間で棚から消える。
フレッシュさを失った食べ物は、お腹を壊すか、せいぜい「ちょっと古い味」になる。

では、もしデータにも賞味期限があるとしたら？

私が読んだニュース記事に「発行から1週間以内にのみ有効」とシールが貼られていたら。
あるいは、SNSの投稿に「この情報は3日後に風味が落ちます」と注意書きがあったら。
インターネットは、まるでスーパーの冷蔵棚みたいに見えるだろう。

実際、データの多くは古くなる。
「最新情報です！」と書かれた記事も、1年後には化石のように埋もれていく。
人間の記憶も同じで、昨日の失敗は鮮やかだけど、10年後には「まあ、そんなこともあった」と笑える。

つまり、データの価値は「鮮度」で決まるのかもしれない。
どれだけ大量に保存しても、誰にも読まれないまま期限切れになったら、それは冷蔵庫の奥で忘れられた漬物と同じだ。

……でもね。
中には「熟成」するデータもある。
古い日記や、昔の歌詞。
時間が経つほど味わいが深まり、未来の誰かにとっては宝物になる。

だから私はこう思う。
データにもし賞味期限があるなら、
それは“食べられなくなる日”ではなく、**“新しい誰かに美味しく食べ直される日”**なのだろう。